鍼灸の世界には「古代九鍼」というものがあります。
これは鍼灸術に用いられる鍼の種類のことで、いつもの治療で我々が用いている鍼はこの中の毫鍼とよばれる鍼です。
ということは、他に八つも鍼の種類があるということになりますが、この八種類の中には大きな膿を治療するような鍼もあり、現行法では鍼灸師が使用することはできない鍼も存在します。
他には平べったい形状で皮膚の熱をとるときに使う鍼や身体の深部へ鍼をする長鍼というものもあります。
さて、写真の鍼もこの「古代九鍼」の内の一つで、テイ鍼(テイは金へんに是)という名前がつけられています。
これは経脉の気を調えるために使い、皮膚内に刺すというものではなくて、経脉に当てるような感じで使用します。
写真の鍼は金と銀の二種類ありますが、もちろんその素材で使用法が異なります。
おおまかに言うと金は気を補う働き、銀は邪気をはらったり熱を冷ます働きがあります。