打鍼の秘密【3】 打ち方の違い

 

打鍼術に関する書物はほとんどありませんが、その中で最も重要なのが『鍼道秘訣集』という書物です。
この書物には、腹部の診察法や、腹部の邪気と臓腑との関連性、そして打鍼術の詳細が書いてあります。
今回のタイトルである打ち方の違いについては、いくつかの名称がつけられています。
いくつか例をあげますと、「勝ちひきの鍼」「負け曳きの鍼」「合い引きの鍼」といったようにです。
では、これらをどのように使い分けるのか。それは、腹部の邪気の状態によって決まります。
正気の弱りがあまりなく、邪気だけを払えばいい時は、「勝ちひきの鍼」、邪気の居所がつかめない時には邪気をおびき出す「負け曳きの鍼」です。他には、上へと昇っていった火を下へとひいてくる「火曳きの鍼」といった方法もあります。
病気との闘いは戦(いくさ)に例えられることがあります。時には攻めて、時には敵をおびき出す。
攻めてばかりではなく守ることもする。このようにただ打つだけではなくいくつかの術を組み合わせて治療を行っています。