東洋の蔵府【5】 気血の生成(腑の働き)
東洋の蔵府シリーズ、これまでは肝・心・脾・肺・腎の五臓の働きについてお話ししてきました。
今回は“腑”のお話です。
腑は胃・小腸・大腸・膀胱・三焦・胆の6つがあり、総称して六腑といいます。
六腑の中でも胃・小腸・大腸・膀胱・三焦と脾の働きは、身体を養うための栄養源である飲食物を取り入れ、生体活動に必要な気、血、水を全身へと供給するための根源となります。
それでは、その流れをみてみましょう。
まず、口から入った飲食物は胃へと送られます。
胃は飲食物を受け入れると鍋でコトコトと煮るようにそれらを腐熟させていきます。その中で気血の源となるものは脾へと送られます。
そして脾から心と肺の作用をへて気血に変化し、その後経脉を介して、全身へと運ばれます。
鍋の中に残ったものは糟粕と呼ばれ、小腸へと運ばれます。
小腸は、運ばれてきた糟粕を固形物と水分とに分け、固形物は大腸に、水分は膀胱へと送ります。
大腸と膀胱は、それぞれを体外へと排出します。
腑の作用で最も大事なところは、胃の火力です。これが弱いと飮食物が煮込まれずに未消化のまま下へと運ばれて下痢になってしまいます。
もちろん気血の生成も出来なくなりますし、胃内に水が停滞することもあります・逆に熱が強すぎるのも問題です。
熱が水分をどんどんと乾かしていき、かたい便になり便秘になってしまいます。
料理でも火加減が適当でないと食材が黒焦げになってしまいます。
他にも食べてもすぐにお腹が空いてくるといった症状もこの熱が原因で起こってきます。
腑の働きは、五臓が正常に働いていることが土台となって行われます。
その五臓は今回説明した腑の働きにより、飲食物の精気を受けることができます。