東洋の蔵府【6】 経絡の役割

東洋の蔵府【6】 経絡の役割

これまでは臓の働き、それから腑の働きを紹介してきました。
今回はそれらを結ぶ経絡の話をしていきます。
経絡というのは、実は経脉(みゃく)と絡脉を合わしたもので、経脉は人体を縦に走り、絡脈はその経脉間を横に走ります。そして絡脉の末端は孫脉と呼ばれます。
経脉や絡脉は全身を縦横無尽に走っており、それらが気血をめぐらすことによって、陰陽の気を交流させ、筋肉や骨をうるおして、関節がなめらかに動くようにしています。
表現がわかりにくければ、「栄養している」と考えていただければいいかと思います。
経脉は胃の真ん中から始まって全身を循環した後にまた胃の真ん中に戻ってきます。一つの環のように終わってはまた始まるのです。
その過程で五臓六腑を通り、それらにも気血をめぐらせます。
経絡は臓腑に比べれば身体の表に近い部分にあります。施術中に「風邪が入った」と言われた方もいるかと思いますが、
風や寒、湿気などの邪気は脉の末端の孫脉から絡脉、経脉へと入ってきます。
身体の正気が弱って経脉に力がないと、経脉とつながっている腑や臓まで深く邪気が入ってしまいます。
ですので、経脉に邪気が入ってしまったら、腑や臓にまで及ばないように、それを早く外へ追い出さなければなりません。
経脉は外からは見ることができません。経脉の状態は身体の各部位の動脉を触って診ることが出来ます。
妙鍼堂では特に手首の動脉で調べています。先ほどお話したように、経脉は一つの流れで全身を廻っていますから、そこだけで身体全体の状態を知ることができるのです。
一方、皮膚上に見えている血管は絡脉にあたります。絡脉に邪気があるときなどは、その色の変化でも病の状態をつかむことが可能です。