温泉再考【3】 温泉の温度

温泉といえば、その土地によって様々な種類が存在し、湧出する場所や出方などもいろいろとあります。
温泉に入浴された際、硫黄泉や含鉄泉などの表示を見たことがあるかと思います。
また、湧出温度も100度近いものから30度くらいのぬるいものまでありますが、東洋医学ではこれら、温泉の種類をどうとらえるのかというお話をこれから数回にわたってご紹介します。
温泉宿や公共浴場では、入浴に適した温度になるように調整されていますが、源泉の湧出温度は場所によって大きく変わります。
第一回でお話したように、温泉は地中に欝積した陽の気に水脈が暖められることによりできると東洋医学では考えています。
水と火が交じりあい湧き出てくるので、その交じりあい加減というものがとても大事になります。
水と火がほどよく交じりあえば、暖かく和柔の気が生まれます。
これを温といい、これは大気においては万物を育成し人身を寒から守る気ともなります。
古人たちは火というものは人間が生きていくにはなくてはならないものだが熱に傾いてしまうのはよくない。
逆に冷に傾くと今度は火の力が足りないのでこれもよくないと考えており、人肌にちょうどよい温かさが一番いい状態の温泉であると言っています。
もちろん、人為的な力を借りて極熱の湯は冷まし、微熱や冷泉は温めてやればよいことなのですが、天地間にあまねくいきわたるの偉大な力をもってこの大地の上に湧き出てくる温泉ですから、その天地の力を受けて湧き出た状態でもっとも良い温度を保っている温泉が極熱の温泉や冷泉よりも勝ると古人たちは考えていたようです。
この条件があてはまる温泉はどこか?
このコラムでもっとも参考にしている宇津木昆台先生(京都の方でした)は、この近辺では有馬温泉がその条件にあてはまると述べています。