東洋の蔵府【12】 五臓の虚(弱り)その二

東洋の蔵府【12】 五臓の虚(弱り)その二

人間が病になるには、身体の虚(弱り)から始まります。その虚をつくる原因にも様々なものがあり、五蔵によって違いが有ります。
前回は心、肝、脾、についてその原因となることを説明しました。
今日は残りの肺と腎、そして六腑についての話です。
肺は冷たいものを多く飮食したり、身体を冷やすことで病となります。
肺は外気と接する部分ですので、寒気におかされることで、その働きが失調してしまいます。
また、冷たいものが胃に入り胃の熱が少なくなると、その分身体を温める陽気がなりますので、外寒にもおかされやすくなります。
そして腎は力を用いての労働であるとか、房事(性生活)が原因となり虚(弱り)が生じます。
重たいものを持ち上げる時、最も働くのが腰です。その腰に力を注入しているのが腎なので、腰の疲労は腎を病むというのです。
また、人の身体の根源である精力も腎の主るものであり、それの消耗も腎を弱らせます。
六腑とは、胃を中心とした胃腸、膀胱、胆のことを指します。
六腑には、それぞれ表裏の関係を為している蔵があります。
例えば肺は大腸と、腎は膀胱と表裏関係にあり、五蔵が弱るとその影響を六腑も受けて病を引き起こします。
また、六腑とは、飲食物が通る道筋であり、不要な物質を外へと排出していきます。それ故に、飲食の性質や寒熱によって病を受けることになります。
冷たいものを飲みすぎてお腹をこわすとか、脂物などを取りすぎて腸内に熱がこもり潰瘍ができるなどは、寒熱から起こる病の例になります。
寒熱の他には味の偏りによっても病を起こします。酸味が過ぎて胃に穴が開くこともあるのは、酸味の飲食が腑に病を引き起こす例です。