ウイルスと邪気

 

東洋医学において、目に見えない「気」という概念があるのは、妙鍼堂の患者さんならばご存知だと思います。
身体に悪影響を与える気のことを邪な(よこしまな)気ということで邪気と言います。風邪は文字通り風の邪気によるもので発熱、頭痛といった症状がでます。風邪のようなウイルスによる疾患に対して、東洋医学では、外部の邪気に感じた病で外感病と呼んでいます。
今でこそ電子顕微鏡でウイルスの姿をとらえることができるけども、2000年以上前はそのようなことはできませんので、目に見えない「気」によって起こる病だと分析したわけです。
その「気」にも六つの種類があることを前回紹介しました。風、寒、暑、湿、燥、火の六気です。この六気の違いによって人体には違った症状が現れます。
ウイルスという面から言えば、特定のウイルスが生存し易い気候条件、またはウイルスに感染し易い人体の内部環境が、六気の違いによって変わってくるのだと考えることができます。
この六気は大気そのものであり、その移り変わりをどうにかすることは天地がひっくり返らない限りありません。
これらの六気が人体に影響を及ぼすような時はそれを完全に防ぎきることは不可能であると言えます。
すべてのウイルスがこの六気に含まれるかといえばそうではありません。ただ、風邪のウイルスやインフルエンザウイルスはこれにあてはまると考えられます。
現にインフルエンザウイルスに対しての現状がそれを示しています。
とすれば、いかに身体を邪気の影響を受けないような状態にするのかが大切になってきます。
東洋医学の中に養生のことが多く出てくるのも、このような考え方が根本にあるからなのです。