東洋の蔵府【3】 五蔵の蓋(肺の働き)

東洋の蔵府【3】 五蔵の蓋(肺の働き)

臓腑のお話、今回は肺臓についてです。
東洋医学では肺の別名を“華蓋”(かがい)といいます。
花の形をした内臓のふたという意味です。
古典には、ちょうど花を逆さまにしてふたのように見立てた絵が描かれています。
このかわいらしい名前をもつ肺についてお話していきましょう。
さて、肺は五蔵の蓋(ふた)となり五蔵の内で一番高い位置にありますが、この蓋という表現は肺の働きを良く表わしています。
鍋でぐつぐつと煮ているときに蓋がなければ中の気はどんどん逃げてしまいます。
逆に、完全に蓋を仕切ったままだと内部の圧力が増していきます。そのちょうどいい所を調整しているのが肺の働きの一つです。
具体的には肺の一部分である皮膚において汗孔を開いたり閉じたりすることによってその調整をおこないます。
そして蓋が開いたり閉じたりすることでもう一つ大事な働きがあります。
ストローの片方を指で押さえると中の水分が下に落ちなくなりますね。これを人間で言うとおしっこのことです。
尿の症状が出ている場合、東洋医学では肺という蓋が塞がってしまいおしっこの出が悪くなっている場合もあると考えていきます。
肺は身体を冷やしたりすることで病気をおこしてしまいます。
肺の機能が失調すると、咳や鼻水など呼吸器系の症状はもちろん、先ほど説明したように汗や尿にも症状がでることがあります。
暑い季節は体内に熱が発生します。
身体が冷えると汗孔が閉じて内部に熱がこもることがあります。
この季節は適度に汗をかくことで内部の熱を逃がしてもいるのです。