東洋の蔵府【2】 後天の本(脾の働き)

東洋の蔵府【2】 後天の本(脾の働き)

第2話は脾蔵です。
西洋医学では他の臓器ほど話題になりませんが、東洋医学で“脾”は、体の中心に位置し、大変重要な役割を担っています。
今回はその脾の働きについてお話していきましょう。
脾にはたくさんの働きがありますが、最も大切なものが生命力の補充です。
私たちは両親から受け継いだ生命力、“先天の本”によって生まれ、飲食物から生命力、“後天の本”を補いつつ生きることができます。
この先天の本が第一回のお話の腎、後天の本が今回の脾なのです。私たちが摂った飲食物はまず胃に運ばれます。
その飲食物は脾の働きによって身体を滋養するものに変えられ、他の臓器の力も借りて身体の隅々までに運ばれます。
もし脾の働きが弱ってしまったら、身体を滋養できないのですから、他の臓器も弱ってしまいます。
このように脾は身体の中心的な存在なのです。
それでは脾はどのような場合に弱ってしまうのか?まず挙げられることが飲食の不摂生です。
私たちはついつい食べすぎたり、飲みすぎたり、食事を抜いたり、栄養の少ない簡単なもので済ませてしまったりということがありますよね。
この他にも甘いものや冷たいものを多食しすぎても、脾は傷ついてしまいます。
脾が傷つくと、食欲不振や腹部の不快感などの症状が起こります。
また、飲食以外にも思い悩みすぎると脾が傷つきます。
悩みすぎて食欲がなくなってしまった経験が皆さんにもありませんか?
六月に入りました。雨の季節です。脾は湿気を嫌う性質がありますので、この時期は脾が弱りやすい時だと言えます。
食事は八分目に、思い悩みすぎず。
また手足をよく動かすと脾を助けます。
もちろん鍼灸治療での“健脾”もお勧めします。