東洋の蔵府【11】 五臓の虚(弱り)その一

東洋の蔵府【11】 五臓の虚(弱り)その一

五蔵の精気が充実していれば、気候の変化などの自然の気の移り変わりにも身体を対応させていくことができます。
そのような状態であれば、容易に病が発生することはありません。
しかし、五蔵の精気に虚(弱り)がみられるとそこから、陰陽のバランスを崩し、病を引き起こしてしまいます。
その虚(弱り)というのは、生活上の色々な事が原因で生じます。五蔵の働きはそれぞれ違いますので、原因というものにも違いがあります。
先ず、憂愁思慮すると心が虚す(弱る)と言われます。
憂愁思慮とは、心が悲しみふさぎこむ、細かいことを考え込むといったことです。
心は陽気が多く、火や太陽にたとえられる蔵です。
正常ならば、明るく輝いているものなのですが、上記のような状態が続くことで、その明るさが弱くなり、気の流通までも悪くなってしまいます。
肝は怒って気が逆上し、下りなくなることにより病を起こします。
肝の気は発生の気とも言われ、伸び伸びと流れることが正常です。
それが逆上して上部に停滞してしまうのですから、本来の気の流れとは違う病んだ状態になってしまいます。
次に脾が病む原因となるのは、飮食と勞倦です。
脾蔵は飮食から気の源を取り出すことが主な任務です。
それが正常でない、つまりは飮食に過不足があるということが原因のひとつであります。
飮食が多すぎると脾蔵が働きづめとなり、働きが弱まります。すると体内に飮食が停滞を起こすのです。
そしてもう一つ勞倦というのは、身体を労働させ疲労させることを言います。
今回は心、肝、脾と三つの蔵について説明しました。次回は残りの肺と腎についてです。