症例13

便秘 顔面のニキビ 20代 男性

症状
便秘、三日に一回から一週間に二回くらい。半年に一度くらいは、腹痛に伴って下痢をする。顔面部のニキビが気になる。
便秘といえば女性の悩みのようですが、この症例は男性です。20代男性で便秘と共に腹部の違和感があります。
この方の場合は、腹部が特徴的です。腹部が全体が堅く、特にいわゆる腹筋が堅くて筋張っている状態です。
脉をとると、やや細めの堅い脉が触れます。その脉が腹部を診るところでは特に細くなっています。
これは、脾蔵の弱りによって腹部の津液(水分)が失われているために起こっています。腹筋は脾蔵と関わりの深い胃の経絡が走行するところで、その水分が少ないために筋肉が乾いているのです。また脉には、水分がなくなることによって堅い脉が現れています。
この方の身体においては、胃腸の水分が失われているために便秘を起こしているのです。腹部の気の流動性が悪いためにお腹全体に違和感があります。これを腹脹(ふくちょう)と言います。
気というものは、その流動性が悪いと気の停滞から熱となります。その熱が経絡を伝わり顔面にいくことでニキビができやすい状態となっています。
また下痢と腹痛もその熱が引き起こします。熱が増えてきたことを身体が感知して自らバランスを取ろうとするためです。下痢をすることで胃腸の熱を出そうとするのです。
治療には脾蔵の弱りを助ける脾兪という背中の経穴と、水の根本である腎の復溜という経穴を使用しました。
1回目の治療後、その帰りに便意をもよおしすぐに便通があったそうです。その後も5日間で3回便が通じ、同時に腹部の違和感もなくなりました。
ニキビはすぐには反応がなかったものの、3回目より赤みが引いていき、小さくなっていきました。この間新しいニキビはできず、少しずつ減っていきました。